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2002年04月28日

生きてこそ

明子はボクシング好きで、俺にもボクシングをやるよう勧めた。
しばらくするとボクシングを始めなければ別れると言いはじめ、俺は仕方なくボクシングを始めた。
嫌々ジムに通い、半年がたった頃、明子はプロテストを受けなければ別れると言い出した。
俺は仕方なくプロテストを受けることにした。


プロテストの日の朝のことだ。目を覚ました俺に明子は、
受からなければ別れる。と言い出した。
そう言われても、こればっかりはどうしようもないと俺は言ったのだが、明子は止まらなかった。

プロテストの会場へは明子が車で送ってくれた。
会場に着き、車を降りようとした俺に明子は、
1R目は様子見をしなければ別れると言い出した。
好きに戦わしてくれと言う俺の言葉には耳も貸さず、明子は走り去った。

ついにリングにあがる時が来た。緊張しながらリングにあがるとセコンドには明子がいた。
セコンドから明子は、
相手の最初の攻撃が左ジャブじゃなかったら別れると言い出した。
それは無理な注文だと言う俺の言葉には耳も貸さなかった。
しょうがなく俺は相手が左ジャブを打ってくれるように右ガードを下げた。
相手は左ジャブを打ってくれたが、安心した所に、右ストレートが飛んできて俺はまともに食らってしまった。
相手のパンチが効いてしまった俺は一瞬意識が遠のいた。そんな俺に明子は
足にきてたら別れると言った。
実際、足にきていたが、そんな素振りを見せてはいけないので必死に耐えた。
こうして1R目は終わった。

2R目のゴングが鳴る直前に明子は
2R目開始30秒に右ストレートでKOしなければ別れると言い出した。
しょうがなく俺は時計をちらちらと見ながら右ストレートを出すタイミングをうかがっていた。
しかし、そんな俺の隙をつかれ、逆に右ストレートを食らってしまった。
開始30秒にKOされたのは俺のほうだった。俺はそこで気を失った。

試合終了後、控え室で目を覚ますと目の前に明子がいた。
申し訳なさそうな顔をした俺に明子は、
結婚しようと言った。

俺は冗談じゃないと明子のプロポーズを断った。
こうして俺の明子の恋は終わった。

と思っていた俺のもとに次の日、明子から電話がかかってきた。
驚いた俺に明子は
結婚してくれなかったら別れると言い出した。
仕方なく俺は明子と結婚した。

あれからもう5年がたち、子供も二人できた。
これで良かったのだろうかと今でも昔を振り返ってしまう俺がいる・・・・。
すると台所から「昔を振り返ってたら別れる。」という明子の声が聞こえた。

別れたい。

投稿者 hospital : 2002年04月28日 13:12