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2002年05月28日

飛べる男と飛べない女

とりあえず空を飛んでいくことにした。
だって今から電車に乗っていては明美との待ち合わせに到底間に合わないからだ。
遅刻をした時の明美の怒り方ときたら・・・。
しかし、空を飛ぶのには当然注意が必要だ。人に見られてはいけない。
俺は家の裏口にまわって飛び立とうとした。
しかし、飛び立とうとした瞬間、隣の家のおばさんと目が合ってしまい、
やむなく飛ぶのをやめ、笑顔で会釈をした。

こんな事をしている時間はない。明美はもう来ているかもしれない。
俺は家の屋根に登り、まわりをよく見まわしてから飛び立とうとした。
すると、はす向かいの家の一人息子が屋根の上で日なたぼっこをしていた。
この一人息子。最近、芸大受験に落ち、そういえばいつも屋根で日なたぼっこをしていた。
万が一見られるとマズイ。
俺は飛ぶのをやめ、もう、家から離れた所から飛ぶことにした。
しょうがなく俺は近くの郵便局まで行き、その裏口から飛ぶことにした。ここは静かで人も少ない。
ようし。今度こそ、完璧だ。今からなら約束の時間に間に合う。
さあ、飛び立とうと思った瞬間。俺はある女と目が合った。
その女。明らかに今から飛ぼうとしていた。
俺は始めて自分以外の飛ぶ人間と会った。しかも女である。いたとしても男だと思っていた。
しかも、どうやら、俺のことを知っているらしい。
話を聞くと、いつも人目を避け謙虚に飛び立つ俺に惚れこみ、飛びたいと思い、努力の末、飛べるようになったと言う。
俺は感激した。なぜなら、俺は生まれた時から飛べたからだ。すなわち飛ぶことに関して努力をした事はないからだ。
努力で飛べるようになった女。俺はその女に強い関心を抱き、気がつくと夢中になっていた。
その後、俺はその女と、飛び方や飛んでる時のずっこけ話などで盛りあがり1時間近くも話し込んでしまった。
もう、明美との待ち合わせ時間はとっくに過ぎている。明美は怒り狂ってるだろう。
だが、これで良かったんだ。ごめんね。明美。お前の事は好きだったけど、こればっかりはしょうがない。
だって俺は始めて飛ぶ女と出会えたんだ。この感動をわかって欲しい。
お前にもお前にぴったりの男が現れるはずだ。飛べないおまえには飛べない男がぴったりだ。
じゃあな。明美。空の上からお前を見守ってるよ。

投稿者 hospital : 2002年05月28日 14:10