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2002年05月28日

僕が大空を羽ばたく日

子供の頃から高校生になった今に至るまで
僕はずっといじめられっ子だった。
そんなことからも僕はいつしか、大空を羽ばたく鳥になりたいと思うようになっていた。

そんな僕はとりあえず鳥人間コンテストに応募しようとした。
しかしすでにその番組は終わっているらしく、僕の鳥になりたいという夢はもろくも崩れ去った。

鳥が無理だと分かった僕はランクを一つ下げるつもりで昆虫になろうと決心する。
昆虫でも空を飛べることに違いはないからだ。
よし、僕は今日から昆虫になるんだ。
なんだか、今までの自分、引っ込み思案な自分に別れを告げることが出来たみたいで僕はなんだか幸せだった・・・。
よーし。僕は今日から昆虫になって大空を羽ばたくんだ・・・・。

「お前、もともと虫けらじゃん」

健二だ。僕の大嫌いな健二だ。こいつは何かと僕に絡んでくる。今日はどのような言いがかりをつけるのか

「おめえ、もともと虫けらだろ?」
「はい。そうです。虫けらです。虫けら以下です。」
「お前の夢かなったじゃん。喜べよ。な、虫けら。」
「はい。とてもうれしいです。健二さんにはいつもお世話になってます。」

こいつはこれで納得するのだ。馬鹿なのだ。言わせておけば良い。
僕の夢はこいつなんかには到底理解できない崇高なものなんだ。
そして僕は今日から誰にも恥じることなく昆虫になるんだ・・・。

「おい、虫けら、腹減った、アンパン買って来い」
「かしこまりました。」
・・・・・・
「ただいまお持ちいたしました。」
「わりい、今日金もってねえんだよ、貸してくれよ虫けらちゃん。」
「お代などいただきません。自分健二さんのために尽くせて光栄っす。」
「虫けら、肩こった。」
「お揉みいたしてもよろしいでしょうか。健二さん。」
「おー、わりい。よろしくな」
「かしこまりました。」

・・・・健二の肩をもみながら僕はこれでいいのだと思う。

「虫けら、もうちょっと右。」
「かしこまりました。」
健二は僕を虫けらと呼ぶ。僕は虫けらになれたのかもしれない。
健二の肩をもみながら、きっと僕は大空を羽ばたいているに違いない。
太陽を目指し輝く僕はさながら玉虫だ。
これでよい。これでよいのだ・・・。

「おめえは本当に虫けらだなあ」

おかげさまで虫けらになれました。
この大空は僕をいつか癒してくれるのか。
健二さん、ありがとう。
僕は虫けらです。

投稿者 hospital : 2002年05月28日 14:12