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2002年06月28日

母の日

わかって欲しかっただけだ。困らせるつもりはなかった。
困らせるつもりはなかったが、俺は弟の飲みかけのジュースの中に洗剤を入れた。
弟はノドをおかしくし困っていた。困らせるつもりはなかったのに。

また、同じ頃、俺は母の洗いたてのジャケットに泥を塗りたくった。
母は出かける前にその事に気付き、ひどく困っていた。困らせるつもりはなかった。
何かがおかしい。みんなが俺をはめようとしている。

同じ頃、俺は父の出勤用の革靴に画鋲をしこたま仕込んだ。
父は出かける前に、かかとを痛め、ひどく困っていた。
もちろん困らせるつもりはなかった。

長期にわたって、誤解を受ける事も多い。
ちなみに俺は一年間付き合っている彼女にいたずら電話を2年かけ続けている。
これは誤解を受けやすいが、もちろん俺は、彼女を困らせるつもりはない。
でも、彼女と彼女の家族はひどく困っていて、2年の間に電話番号を3回も変えた。
困らせるつもりはなかったのに。

結局、こういうことだ。俺の周りの人間は、俺を悪者に仕立て上げようとしているのだ。
俺を困らせようとしているのだ。俺が一体に何をしたというのか。

小学校入学当時、俺は、あえて先生の目の前でお漏らしをした。
先生は慌てて、俺の世話をした。どうやら困っていたようだ。
俺は困らせるつもりはなかったので、悪びれる様子もなく、困ったふりをする教師を睨みつけた。
教師がこんな事でどうする。子供を教育するはずの教師が入学初日の幼い子供をだましているのだ。
俺は、その後も、小学校6年間毎日、おしっこを漏らしつづけた。
先生はもちろん、同級生も、しょっちゅう学校に呼び出される母も困っていた。
もちろん、俺は困らせるつもりはなかった。彼らは困ったふりをし、俺をはめようとした。6年間もだ。

俺は許せなかった。そして、俺はついに、はじめて人を困らせてみようと思った。

今まで俺は人を困らせようと思って行動した事がない。だからどうしたらいいのか見当がつかなかった。
だからやろうと思ったことと逆の事をすればいいのだと思った。
今日は母の日だ。俺は毎年母の日には毒性の強い花を母に渡し、母を花アレルギーに追い込んだ。
もちろん、俺は母を困らせるつもりはなく、母の演技である事が予想される。
だから今年、俺は母を本気で困らせてやろうとはじめて思い、
母にパンジーの花を渡した。いつもの発想を逆転した結果、パンジーの花を渡すという結論が出た。

パンジーの花を受け取った母は泣き出した。そしてなぜか
「ありがとう・・。」
と言った。

こっちが困ってしまう。

投稿者 hospital : 2002年06月28日 14:21