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2002年07月28日

着ていく服がない

親友が交通事故で死んだという知らせを受けた。

小中高、そして社会人になった今になっても、あいつと俺は一つの堅い友情で結ばれていた。あいつが死んだなんて到底信じられない。

今日の夕方、通夜があるそうだ。本当にあいつが逝ってしまったのかを確かめるために。そして、もしかしたらあいつとの永遠の別れを悲しむために、俺は出席するのだろう。

ここであることにはたと気づいた。

「着ていく服が無い。」

色々な角度から「服」がなかった。
洋服、和服、チャイナドレス、よろい。なんでもござれ。いや、何も無いのだ。
服がないのだ。
喪服が無いのではなく、服がない。
というか、不況のあおりを受けて服にまで金が回らなかったといえば正しいだろうか。

しかたなく俺は通夜に全裸で参列した。
あるいは、

「服が無かったこと」→「生まれたままの姿で親友との別れを悲しみたい」

と、自己を正当化していたのかもしれないが。
なんということはない。金が無かったのだ。
もちろん、御霊前なども袋を買う金が無いため、裸で持っていった。
というよりも、何も持っていかなかった。いわば手ぶらだ。
そんな俺を咎める者など一人もいない。ありがたい。痛み入る。

焼香の順番が回ってきた。
というか、俺の前で順番待ちをしていた人々はことごとく俺の前から逃げた。
通夜史上異例のスピードで俺は焼香をしたことになるが、そんなことは今関係がない。

あいつの写真の前で俺は涙した。
金が無いことにではない。
人が俺を理解してくれないことにでもない。

お前を失ったことが本当に悲しかったからだ。

写真の中のお前は俺のことを許してくれるだろうか。
ありがとう。お前のおかげで今まで楽しかったよ。

投稿者 hospital : 2002年07月28日 15:05