« 勝ち組の男 | メイン | 夏の過ごし方 »

2002年08月28日

変な両親

昔、日本にはサクラの木の下に死体を埋めるという文化があったらしい。
僕の家にもサクラの木がある。僕は休日を利用してサクラの木の下を掘ってみることにした。

2mほど掘ると錆びたドラム缶が出てきた。僕は恐る恐るフタを開けてみた。

すると

母さんが入っていた。
「あら。どうしたの?」
「どうしたの?ってこっちのセリフだよ!」
「あら。そんなことないわよ。父さんだっているんだから。父さぁん!」

すると更に下の地面がもぞもぞと動いたかと思うと、ドラム缶のフタが開いて父さん
が出てきた。
父:「おう。タケシか。どうした。」
僕:「どうしたじゃないよ!なんで夫婦そろってこんな所にいるんだよ!」
父:「だってなぁ。仕事仕事で母さんをどこにも連れて行けないからなぁ。せめて休
日くらいと思って…。」
僕:「もっといい所行けよ!」
父:「はて?いい所?面白いじゃないか。教えてくれ。」
僕:「教えてくれって…デパートとかでもいいし、二人で何か食べに行ってもいい
じゃん。」
父:「母さん。聞いたか。君の息子はこんなことを言っているよ。」
母:「変な子ね。フフフ。」
父:「フフフフフ。」

僕は訳がわからなくなってその穴から出た。下から
「おい!ちゃんと埋めて行けよ!」
という父の声が聞こえた。
僕は泣く泣く無言で掘った穴を埋め始めた。
サクラの木の下に死体を埋めるという話を聞いたすぐ後に、生きた両親を生める羽目
になるとは・…。
僕は複雑な気持ちだった。

父:「複雑だってさ。母さん。」
母:「変な子。フフフフフ。」

変な両親を持つとつらい。
僕はテレビでも見ようと自分の部屋に戻った。すると部屋の中にドラム缶が一つ置い
てあった。
そして置き手紙があった。

『いつでもいらっしゃい。たまには穴もいいわよ。

                  父と母より』

僕はその手紙を丸めてゴミ箱に捨てて、テレビをつけた。
しかしだんだんとドラム缶が気になり始め、少し入ってみることにした。

結局、次の週から僕も休日は父と母と一緒にサクラの木の下に埋まるようになった。
変な両親、変な休日だ。

投稿者 hospital : 2002年08月28日 15:46