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2002年09月29日

ユッコとアッコ ―さよならバスストップ―

アッコ。ごめんね。あたい。先にこのバス降りちゃうね・・・・。

秋の風が吹く東京のバスストップでユッコはバスを降りた。

アッコとの約束。

1.ユッコはアッコがバスを降りるまで絶対にバスを降りません。
2.ユッコはアッコの宿題を手伝ってあげます。
3.ユッコはアッコといつまでも友達です。


ユッコとアッコは生まれた時からずっと一緒でした。
オテンバのアッコに、控えめのユッコはいつもくっついていました。
アッコはユッコが大好きで、ユッコはアッコが大好きでした。

ユッコの家が燃えてしまった日のことです。
アッコに彼氏ができました。

ユッコの大切にしていた自転車が盗まれた日のことです。
アッコの彼氏が宝くじを当てました。

ユッコが手と足を骨折、首の骨を脱臼した日のことです。
アッコはマラソン大会で優勝しました。

それでもユッコはいつだってアッコと一緒にバスに乗って帰りました。
いつだってアッコの宿題を手伝ってあげました。
ユッコとアッコはいつだって友達でした。


アッコが3組のヨッピーと付き合い出した時もユッコは気にしませんでした。
でも、ヨッピーは学校でも札付きのワルでした。
学校中にヨッピー伝説が出回っていました。

1.ヨッピーは線路に置石しても何食わぬ顔。
2.ヨッピーはスカートめくりも朝飯前。
3.ヨッピーは給食を残してもしかられない。
4.ヨッピーは筆箱を食べた。
5.ヨッピーはグッピー。

噂が噂を呼び、生徒達全員がヨッピーのことを恐れていました。
だんだんとヨッピーの悪い影響を受け始めたアッコは
いつしかナンシーと呼ばれるほどのワルになってしまったのです。
ヨッピー・アンド・ナンシーはパンクファッションに身を包み、
学校中の壁に『ヨッピー参上』と書きました。

いつしかアッコはまったく宿題をやらなくなり、バス通学もやめました。

秋の風が吹く東京のバスストップでユッコはバスを降りました。
アッコの代わりにやった宿題も川に捨てました。

「アッコ・・・。あたいはアッコの友達だよね?」

ユッコはそう言うと、泣きながらコカ・コーラで大量のコカインを一気に飲み込みました。


「ユッコ!」
アッコの声でした。『ほっとけ。』と止めるヨッピーを振りきり、アッコはユッコに近寄りました。
「ユッコ。死んじゃだめだ。ユッコ!ユッコ!」
「アッコ・・・。ごめん・・。あたい・・アッコのこと信じ切れなかった・・・・。」
「ユッコ!ユッコ!!」

ユッコは静かに息を引き取りました。アッコは泣き続けました。
「ごめんねユッコ!許してユッコ!」
それを見ていたヨッピーは『ちっ』と唾をはきすてると750ccのママチャリで走り去りました。

アッコは泣きながらユッコを抱きかかえ、その日の最終バスに乗りました。
明日のユッコの分の宿題もやりました。
そして、ユッコと一緒にバスをおりました・・・。


ユッコとアッコは本当の友達でした。

投稿者 hospital : 2002年09月29日 09:29