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2002年09月29日

アメリカ人

ぼくアメリカ人。ピッツァとハンバーガーが大好き。
だからぶくぶく太っちゃった。
ダイエットしなくっちゃね。
よおし今日から食事制限始めるぞう。

でもぼくアメリカ人。算数苦手さ。
カロリー計算なんてできないよう。
とにかくヘルシーな物を食べればいいか。
今夜はダイエットペプシにSUSHIで決まりさ。

だけどぼくアメリカ人。味覚がクレイジー。
SUSHIの味なんてわかんないよう。

「ママ。ケチャップとハニーマスタードをとっておくれ。」

ぼくのママもアメリカ人。そしてかなりの差別主義。

「マイケル、ジャップのエサなんて食べちゃだめ。」

オーマイガッ。そりゃないぜ。食事制限はもうやめた。

「ダディ。僕をウェンディ-ズに連れてっておくれ。」

ぼくのダディもアメリカ人。健康大好き。健康のためなら死んでもいいのさ。

「マイケル、ウェンディ-ズまでジョギングしよう。」

そいつはいいや。ダイエットにもってこいだね。
ひいひい。はあはあ。ウェンディ-ズってば遠すぎだよう。

「ダディ、車じゃなくっちゃ僕死んじゃう。」

だってここはアメリカ。超広いんだもん。

ブーン。速いぞ速いぞ。ダディの車はファッキンクール。
ナビゲーターまでついてんだぜ。さっすがアメリカ。ハイテクだあい。
え!なんだってダディ、この車は日本製だって?
じゃあ日本のニンジャたちがこれを作ったの?え!ニンジャはもういない?
知らなかったよ。サムライとゲイシャが車を作っていたなんて。
だってぼくはアメリカ人。アメリカのことしか知らないんだもん。

ウェンディ-ズについたのさ。ヒスパニックのビッチに注文したよ。

「ハンバーガーを3つ。それからポテトとコーラ。おっとどっちもサイズはLね。うん。ここで食べていくよ。あ、あと、キミのその大きな二つのチェリーパイも頂いちゃいたいね。もちろん、そいつはテイクアウトで。」

HAHAHA!最高だろ、ぼくのジョーク。

「Fサイズのカップでミルクが飲みたいってことかしら、坊や。」

HAHAHA!こいつぁまいったね。

ダディと一緒にハンバーガーを食べたよ。
ビタミン剤をミニッツメイドで流し込むダディに僕は言ってやったんだ。

「ねえ、ダディ。ぼくダディのこと好きだよ。」

ダディは笑ったよ。僕も笑った。
矯正器つきの歯を“にっ”てやったんだ。

「マイケル。わたしもおまえを愛しているよ。いつまでも一緒にいたい。」
「うん。家族三人仲良くやっていこうね。」

僕らはアメリカの家族。世界で一番家族が大事。

「マイケルすまない。実はママと離婚しようと思ってるんだ。」

急にダディってば言い出すんだもん。びっくりだよ。でも仕方ないさ。
だってここはアメリカ。離婚なんて日常茶飯事。
でもさ、なんだか涙があふれてきちゃう。
ハンバーガーにぽたぽたぽたぽた涙が落ちるよう。
ぱくり。ハンバーガーが涙でしょっぱくなっちゃった。

「YO!店のマネージャーはどいつだ。泣いたらハンバーガーがしょっぱくなったぞ。どういうこったい。そんな説明受けてないぞ。訴えてやる!」

帰り道、僕とダディは口をきかなかったよ。
カーステレオから流れるフランク・ザッパの歌声がやけに切なかった。
なんだかその夜はなかなか寝付けなくって、
バーボンを1パイントとジョイントを1本吸ってから寝たよ。
アメリカの小学生は早熟なのだ。

次の日僕は教会に行ったよ。神様にお祈りするために。
ねえ、神様、パパとママの離婚をとめてよプリーズ。
そんな僕をみて神父様がお茶に誘ってくれたよ。
神父様は元気を出すんだよって僕を励まし、
それから僕のおちんちんをさわったり吸ったりしたよ。

家に帰ると、すでにママとママの荷物はなくなっていたよ。

「ねえ、ダディ、いくらなんでも早すぎじゃない」
「ちょうどママの叔父さんが死んで、ルイジアナに帰るっていうからそのまま出て行ってもらったんだよ。」

WAO! アメリカの合理主義もここまできちゃうとすごいや。

それからすぐに新しいママができたよ。
新しいママはファッキンシットのサノバビッチでマザファッカーさ。
毎日毎日僕を殴るんだ。だから毎日毎日神父様のところへ逃げたよ。
そんなふうにしてたら、なんだか僕、頭がおかしくなっちまった。
自傷行為、多重人格、異常性欲、猟奇殺人願望。なんでもこいさ。
おまけにアル中、ヤク中で体はボロボロ。ガリガリに痩せ細っちまった。
こうして僕は現代アメリカに巣食う病に冒されちまったかわりに、
見事ダイエットを成し遂げたのでした。

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おっとまった。
ここで物語は終わらない。
その後僕はあの街を飛び出し、ニューヨークへ行ったよ。
そしてロックを始めたんだ。CBGBを拠点に歌ったさ。
アメリカのくそったれってね。
そして今、フロリダのプール付き別荘に美女達をはべらせ、
トロピカルドリンクを飲む僕がいる。
にやりと笑ったその口に、もう矯正器はついてない。
ブタみてえに醜い肥満児だった僕が、
今じゃ売れっ子ロックンローラーになったってわけさ。
これぞまさにアメリカンドリーム。
こんなふうに僕の物語はハリウッド的エンディングで幕を閉じるのでありました。
HAPPY END

投稿者 hospital : 2002年09月29日 09:50