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2002年10月31日

仲の悪い兄妹

「なあ明美。この髪型イケってかなぁ?」

興味ない。

「なあ明美。」

「おい明美。」

「俺今日さ、すっげぇ朝寝坊しちまってぇ。起きたら何時だと思う?」

興味ない。

「3時。ありえねー!3時ってありえねー!」

私の彼はイケてない。なんで付き合ってるのか自分でもわからない。
電車の中でも自分のことばかり喋りまくる彼。一言一言頭に来る。

電車の向かいのイスに、仲の悪い小学生の兄妹が座っていた。悪いけどすごいブサイク。
お兄さんと妹はすっごい顔似ててお兄さんの方は短パンを履いてる。
太ってて短パンもきつそう。妹もお兄さんに似て太ってる。制服のボタンがとれそうなくらい。
見ちゃ悪いと思ったけど私は目が離せなかった。
兄は、妹がイスの前にある手すりをつかんでいるのが気に食わないようで
妹の手を肘でごんごん叩いてる。なんてひどい兄だろう。

「なぁ明美。俺思ったんだけど昼飯食ってないかも。」

食えよ。


私は目の前の兄妹に釘付けだった。なぜなら妹の顔が

まるで大仏なのだ。

自分の手を兄にエルボーされながらもガンとして前を見据える妹。

「なあ明美。10月って何日までだっけ。」
「31日。」
「ありえねー。」

何がだ。何があり得ないのだ。

あいかわらず目の前の妹は前を見据えている。
意地でも手すりを離さないという目つきだ。
兄のほうはそんな妹に対する反抗のつもりか嘘寝を始めた。
背筋をピンと伸ばしたまま目をつむっていた。

「なあ明美。あの兄妹すげー仲悪くない?」
「そうそう。私もずっと見てた。」
「でさ、すげーあの妹いかちーよな。」
「いかついよー。なんか大仏っぽくない?」
「超言えてるし。」
「っていうか目が合ったら石になりそうな目してない?」
「超してるよー。っつーかもうなってるし。」

そう笑いながら言った彼の足を見てみると石になっていた。
洋服も一緒に石になっているのだ。すでに彼の下半身は石になっていた。

「つーか俺もう立てねーし。一生立てねー。ありえねー。」

彼はいつもの馬鹿なテンションのままだ。

そのうち降りるはずだった駅についたが彼は降りれなかった。
そしてその兄妹も席を立ち降りていった。
兄は妹に「降りるぞ」とも言わずにさっさと降り、妹も少し遅れて降りていった。
降り際、妹は私のほうを見て少し笑った。

投稿者 hospital : 2002年10月31日 14:52