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2002年11月23日

If もしも

何もない。

冷蔵庫を開けてみたけど何も入っていなかった。
お腹がすいてたまらないのに、外へ行くのはめんどくさい。

洗濯機のボタンを押したのはいいが、洗い終わっても干すのがめんどくさい。

風呂に入るのがめんどくさい。

ビデオを見たいが借りに行くのがめんどくさい。


何もかもがめんどくさい。一体俺はどうしてしまったんだ。

布団の中から天井を見つめながら俺は
もし、釈由美子が俺の家に住んでいたとしたら、俺の生活はどう変わるだろうかと考え始めた。

エプロンはしているだろう。純白のレースのエプロンに違いない。
彼女は特に何という気もなしに、ご飯を作り出すに違いない。

口をあけたまま、彼女は人参を切り、ピーマンを切り、
たまに自分の指を少し切っては、

「あ♪」

と言うに違いない。
なんて楽しいんだろう。

それではもし、俺の部屋に、かたせ梨乃が住んでいたらどうだろう。

彼女の場合、たぶん午前中はプールに行っているだろう。
体重管理のためだ。俺はたぶん

「もう年なんだから、年なりの美しさを目指した方がいい。」

と言いたくなると思う。しかし、言えないだろう。
彼女は最初から俺のことなど眼中にないだろうから。
きっと虫けらのように俺を見つめ、おにぎりくらいは作ってくれるかもしれない。
いや、彼女はきっとおにぎりですら自分で作らず、デパ地下で買ってくるような気がする。

これでもお食べ。とでも言わんがばかりに俺の枕元に置いていくことだろう。

あいつはそういう女だ。


それでは広末涼子が俺の部屋に住んでいたらどうだろうか。

なんとなく彼女は俺と一緒に家にいてくれそうな気がする。

そして・・・

だめだ。広末は俺の部屋には絶対に住まない気がする。想像することすらできない。


最後に俺の部屋に哀川翔が住んでいた場合を想像してみる。

翔さんはたぶん俺の枕元にいる。別に俺を見ているわけではない。
俺の部屋は狭く、でも翔さんは別に不満な様子もなく、あぐらをかいて俺の枕元辺りに座っているはずだ。
白いスーツを着ている。ピストルか日本刀を磨きながら。
小さなガラス窓から光がほんの少しだけ入り、翔さんはたぶん逆光で

シルエットだけだ。

俺は布団の中からシルエットだけの翔さんを見ている。
翔さんはたまに俺の顔を見ては、あの全身の毛穴から出ているような不思議な高い声で

「メシ食うか。」

と言うに違いない。そして俺はその言葉を聞いてすぐに布団から出て立ちあがるに違いない。
別に翔さんが恐いから従うとかじゃなくて、翔さんの「メシ食うか。」という言葉聞いたら自然に立ちあがれるに違いない。

それは「男の言葉」だから。

そして、翔さんはたまに立ちあがって閉めっきりのカーテンを開け、窓を開け、空を見上げ

「空が青いなぁ。」

と言うに違いない。俺はその言葉を聞いて全身の毛穴から涙を流す。感動でだ。
例えばこれを安岡力也が言ったとしたら、俺は感動しない。
(当たり前ですよ。力也さん。)
と思いながら、また深く布団にもぐるに違いない。
でも翔さんの「空が青いなぁ。」は違う。

それは「男の言葉」だから。


布団の中で色々考えた結果、やはり釈由美子がいた場合が一番楽しいという事がわかった。

明日は、「もしも釈由美子が車の免許を取ったら」について考えてみたいと思う。

投稿者 hospital : 2002年11月23日 15:08