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2002年11月06日

担任池田の苦悩

若葉中学校1年E組の担任池田は悩んでいた。
新入生を迎える少し前のことである。
今度担任するクラスの名簿を見ては池田はため息をつくのだった。

「・・・・はぁ・・。どうしよう・・・。」

名簿を見ていて悩むなんておかしなことだと思ってはいけない。
池田が眺めているその名簿はただの名簿ではなかったのだ。
五十音順ずらりと並んでいるその氏名は池田にため息をつかせるに十分だったのだ。

『1年E組1番 麻原彰子』

これだけならまだ良かった。

『1年E組32番 松本千鶴子』

・・・・。池田は何ともいいようのない虚脱感を覚えた。

「どうして、こんな二人がそろってしまったんだ・・・。」

池田は聖職者としての誇りをもっていた。
故に、生徒のことをいの一番に考える事のできる教師だったのである。
池田は悩んだ。それはこんな名前の生徒が二人もいることで、ダブルイジメにあわないか心配だったのだ。

「やーい、サリンっサリンっ・・・!」

子供は残酷であるがゆえ、そのような心配をするのもしかたのないところであろう。
池田は隣町の中学校で同じく教師をしている田中に相談をすることにした。

「もしもし、田中か?ちょっと相談にのって欲しいことがあるんだ。」
「おう、池田じゃないか、どうしたんだ?」
「俺が今度担任するクラスにな、麻原彰子と松本千鶴子って名前の生徒がいるんだ・・・」
「・・・、ありえないなあ・・・。珍宝デカ男くらいありえないなあ・・・。」
「冗談じゃないんだよ。真剣に悩んでるんだ。」
「その勢いだと、福永法源とかいそうだな。はははは。」
「おいおい真剣に・・・・あっ・・・・」

その時池田は名簿に『福永法子』という名前を発見したのだった。

「・・・・。いた・・・。」
「おいおいおい、オンパレードだな。ひょっとして『キリ・スト子』とかいるんじゃないか?」
「馬鹿野郎、おまえちょっとはまじめに相談に乗って・・・・あっ。」
「ど・・・どうした?」
「日蓮子・・・・。」
「ありえねーーー。」
「どうしよう?」
「ありえねーーー。マホ・メト子とかいたら笑えるなあ。」
「これじゃまるっきり宗教クラスじゃないか・・・。」
「お前も、大変だなあ。いろいろと。」
「あああ・・・、せめて俺の名前さえまともだったら・・・」
「まあ、気に病むな。何とかなるさ。頑張れ!大作!」

ツー・ツー・ツー・ツー

池田にはその音が心なしか『南無妙法蓮華経』に聞こえたのだった。
新学年、担任池田は苦労することになる。

投稿者 hospital : 2002年11月06日 14:56