« 膝上3cmの生き方 | メイン | パパと女の子 »

2003年02月05日

忘れ物

俺は生まれついての忘れ物屋さんである。
日々なにかを忘れて生きている人間なのだ。


今日トイレに入った。
街角を歩いていると急に便意が。大の方である。
目についた喫茶店に駆け込み、コーヒーを注文してそそくさとトイレに入る。
小便器に向かい思い切り踏ん張る。
ここで、はたと思い出した。

あっ、大の方だった!

大便をしようとしていたことをうっかり忘れ、小便器に踏ん張ってしまったのだった。
しかし、時すでに遅し。
ズボンを前のほうだけ下げて踏ん張ってしまったものだから、大惨事だ。
とにかく、パンツとズボンをきちんと下ろして汚物を処理する。
ふっと息をつき、手を洗うのを忘れずに、便所を出た。

席につき、注文していたことを忘れていたコーヒーを飲もうという段になって、ふと店員の目線が気になった。

「お・・・お客さん・・・」

まずい。手を洗うことを忘れないようにすることに気をとられて・・・
ズボンとパンツを穿くのを忘れていたことを思い出した。
俺は下半身半裸で、コーヒーをすすっていたのだった。
この時ほど、自分という存在を忘れたくなったことはなかった。と思った。ような気がする。自信がもてない。それすらも忘れてしまったのだ。
そして、そそくさと喫茶店を後にする。
(会計を忘れた事は言うまでもない。)

はて、喫茶店を出ると、自分がどこへ行こうとしていたかを思い出せなくなっていた。
思い出そうとして苦心していたのだが、次の瞬間思い出した!

「そうだ!俺約束の・・・・・」

なんだっけ?
さっき思いついたのに、またもやど忘れしてしまったのだった。
こうゆう時は泣きたくなる。

泣いている暇はない。
なにか重要なことのために街を歩いていたはずだのに、その時俺は近所の喫茶店の前に立ち尽くしているのだった。

それから1時間後、用件を思い出した。
真奈美とのデートだった。いかん、急がねば。俺は韋駄天のごとく走りだそうとしたのだが、いつも俺はどちらの足を先に踏み出していたっけ?という疑問が不意に起こり、どたーんと転げてしまったのだった。思い出せなかったのだ。

血まみれになり、とりあえず遅れる旨を真奈美に伝えなければならないと思い、電話をしようとしたのだが、電話番号が携帯のメモリに登録されていることを忘れていたため、後に真奈美の逆鱗にふれ俺と真奈美の恋は終わった・・・。


・・・・。そういえば、涙の味はこんな味だったっけ。


そんな一日だったような気がしないでもない。
なにぶん、記憶が定かではないゆえ。

投稿者 hospital : 2003年02月05日 08:11