« 人をむかつかせる才能 | メイン | ガードレール »

2003年02月18日

裸眼

俺は道路の上に、倒れていた。

どうも俺は車にひかれたらしい。
そうだそうだ。横断歩道を歩いていた。
いつもは車なんて通らない道だから俺は油断していたんだ。
突然、すごいスピードで車が走ってきて、俺ははねられた。
そうだそうだ。思い出した。
あれからどれくらい時間がたったのだろう。


これはどうも重症だ。
景色がぼやけてよく見えないし、指一本だって動かすことが出来ない。
ショックのせいか音はまったく聞こえない。
もう夜だし、どんどん人目に付きにくくなる。

電話をしよう。携帯電話だ。あれ?そうか。
だめだ。指一本動かないのに、電話を探すもなにもあったもんじゃない。

よく見てみると5mほど離れた所に俺の腕らしき物が転がっている。
車にはねられた時にもげてしまったらしい。

更に5mほど先には俺の足らしき物が転がっている。
どうやら俺は今、手も足もない状態らしい。
あと何分生きられるかもわからない。
あぁ。最後に煙草でも吸いたくなったけど、手がないんじゃ吸いようがない。
そう思いながらふと違う方向に目を向けると、そこには俺の胴体が転がっていた。

その胴体には、左手と左足も付いていた。
さっき見たもげた右手と右足と合わせると、顔以外の全ての部分になる。
どうやら俺は今、顔だけになってしまったらしい。
それでもこれだけ生きられるものなのか。

それでは、あそこに転がっている俺の顔はどう説明したらいいのか。
手に足に胴体に顔。自分の体の全ての部分を離れた所から見るのは妙な気分だ。

幽体離脱だろうか。しかし、それにしては地面に転がっているこの間隔はなんだろう。
霊だったらもっと空中に浮かんでるはずだ。
まあいい。もう意識も朦朧としてきた。


次の日の朝、俺は死体として発見された。
現場ではバラバラになった俺の手、足、胴体、目のない顔が発見されたが、

いつになっても目玉だけは発見されなかった。

投稿者 hospital : 2003年02月18日 08:19