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2003年03月20日

最後のディスクレビュー8

寝返りのうち過ぎ。
そのせいかわからないけど最近いつも胃が痛い。

最近ケンジはおとなしい。
アタシが朝、「何か食べる?」と聞くと、ケンジは静かに

「ハムエッグ。」

と答えた。なんだか気持ち悪い。
昔は朝しゃべりかけるだけでバックドロップだった。
アタシが朝、トーストにコーヒーなんて洒落た真似をした日には、ブレーンバスターをしてくれた。

ずっとそんな生活が嫌だったけど、どこかで気に入っていたみたい。
元気がないケンジはなんか・・ケンジじゃないみたい。

まあいいわ。そろそろディスクレビューに入るわね。

まず最初はウィーンの『ホワイトペッパー』。
変態ポップデュオって言われてるけど、聞いてみるととても丁寧で繊細な作りをしている。
ちなみに、ケンジの手も繊細な作りをしている。
ガサツなケンジに似合わないセクシーな指先がアタシを惑わせる。
アタシはケンジが運転する姿を見ているのが好きだった。
ハンドルを握る細い指先を見ているとドキドキした。

お次はエイフィックス・ツインの『リチャード D ジェイムス アルバム』

関係ないけど、今日は朝から雨だった。
最近、洗濯物の中に子供服が混ざってる。
というか、もう1ヶ月間も見知らぬ女と子供がアタシの家に住みついている。
その女はケンジを『あなた』って呼んで、子供は『パパ』って呼んでる。
ケンジにどういうことなのか聞きたいけど、あえて聞いていない。

臭い物にはフタを。

今にも開いてしまいそうなこのフタを、アタシは死んでも離さない構え。


最後はロケット・フロム・ザ・クリプトで『グループ・サウンズ』
ギターウルフの皮ジャンと同じで、ステージには正装であがる彼ら。
ジョン・レイズはギターをかき鳴らしながらこう叫ぶ。

『首を取ってこい
 心臓はいらない
 目も必要ない
 
 ワインがアシッドへ変わる
 突撃だ
 目も心臓も必要ない』


なんていうか意味がわからない。第一、そんなことしたら捕まるわ。

最近、例のウチに住みついている子供が野蛮な言葉を使う。

「おい。2号。(←アタシのことをそう呼ぶ)場の雰囲気を読め。死んじまえ。」

たぶんまだ意味がわかってないようで、あどけない上目使いでアタシを見つめながらそう言う。
アタシが「こいつー。」と言って微笑みながら軽くゲンコツすると、
子供はふすまの向こうへ走って行ってしまう。

そして、ふすまの向こうからケンジの声が聞こえた。

「よく言えた。次は『おい。オバさん。』って吐き捨てるように言ってこい。あとな、『大体お前は・・・あぁ!!もうめんどくせえぇ。うぜぇんだよ!おばさんがよ!!』って言うんだ。言えるか?おい。どうだ?」

子供は『うん!』とかわいい声で返事をし、あたしの元へ走ってきて、
さっきケンジが言った通りの言葉をアタシに浴びせた。


今年も春が来たわね。


気付いた人もいるかもしれないけど今回は『うつむきながら笑う人々』に注目してみました。
中学生などによく見られる意味不明な薄ら笑い。
人と違う何かになりたい、素直になれなくて照れる、そんな思春期の不思議な薄ら笑い。
ニヤニヤしているとケンジにフライパンでメンチにされるアタシ的には良くわからない。
でも、そんな十代の薄ら笑いが消えずに大人になった子供達もいる。
彼らの気持ちはよくわからないけど、
彼らの音楽から聞こえて来るメロディーは不思議なくらい綺麗なことが多い。
そしてたまにとっても優しい。


そんなアタシの最後のディスクレビュー。
槙原ノリユキの『どんな時も』と、大事マンブラザーズの『それが大事』。

リストラ直後のサラリーマンか、受験失敗直後の2浪生の前で歌ってみて。
喜ばれるどころか、ボコボコにされるわ。


そんな感じかな。

それじゃぁまたね。

投稿者 hospital : 2003年03月20日 08:57