« ハンドパワー | メイン | 退屈と情熱 »

2003年03月05日

謎女

不思議少女というのがいる。

不思議少女が成長して、「少女」ではなくなった時。
「謎女」になる。
「不思議」ではなく「謎」になるのだ。


「あー。時差ぼけー」

不思議少女はなんでもない時にこういった発言をかます。
海外に行ったわけでもないのに、だ。

一方、謎女は一本ぶっとい筋が通っている。
「あー。時差ぼけー」などと安易なことは言わない。言うとしたら、こうだ。

「あー。私って、ガンダムー」

『私って』の部分がまったく謎なのだ。

それはさておき、
「ダイイングメッセージ」というのがある。死ぬ間際にメッセージを傍らに残すあれだ。
そのメッセージは犯人の手がかりになったり、はたまた遺言になったりその用途は様々だ。

私の妻は、元不思議少女だった。
結婚から10年が経過し、彼女は「謎女」になった。
夕食時の会話は大変だった。

「私、今からトキメキますから」

決意の目で、突然こんなことを言い出すのだ。

「そ・・・そうか」
「・・・キュン」
「トキメキなのか?それは」
「もぐもぐもぐ」
「・・・・」

トキメキは済んだのか、妻は声に出して「もぐもぐもぐ」と言い始めた。
『食べている音』のつもりだろうか。別に普通に食べればいいのに・・・。

その妻が今朝、我が家のトイレで「犬の字」になって死んでいた。
従来なら「大の字」になるわけだが、彼女の頭部右側には、「大」ではなく「犬」になるように、ガムテープが貼られてあった。

そして件のダイイングメッセージが傍らに残されていた。

「あー。『大』じゃなくて、『犬』って読んでほしいのですじゃ♪」

彼女の最後の言葉だった。
そんなに大の字ではなく、犬の字にこだわりたかったのか。
まったく、意味がわからなかった。10年以上も寄り添ったのに・・・。

不思議少女を妻に持つと、大変辛い。

投稿者 hospital : 2003年03月05日 08:42