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2003年04月07日

がマン

私は、正義の味方、『がマン』である。
いつも何かに我慢している正義の味方、それが『がマン』だ。
私が、がマンであることを友人や同僚は知らないようだ。
本当は、自分が正義の味方であることを自慢したくてうずうずしているのだが、自慢したいのを必死で我慢している。そう、私は誇り高き、がマンなのだ。


この間、鬼社長に同僚がめちゃくちゃな言いがかりをつけられていた。

「まだ書類できあがってねえだと?てめぇ、ふざけんなよごくつぶし。殺すぞ」
「すみません、社長・・・」
「てめえなんざ、もう会社に来なくていい」
「そこをなんとか、社長・・・・」
「だめだ!許さん!」

入社して10年、苦楽をともにした同僚のことだ。
あいつのためなら、俺は社長に睨まれる事も厭わない覚悟ができている。
俺は、社長に一言物申したくて、うずうずしていた。喉もとまで社長に噛み付く言葉が出ていたくらいだ。

しかし、私は言わずに耐えた。
一言同僚のために言ってやりたかったけれど、我慢したのだ。がマンの悲しき定めである。もちろん、同僚が寂しげに会社を去っていく姿は見られたもんじゃなかったが、我慢して見送った。あの時は大変な我慢だった。

正義の味方を自認している私なので、「助けてー」という声が聞こえるとすぐさま現場に駆けつけるようにしている。
このあいだは、やくざ風の男にしつこく言い寄られている婦女子の人が私に助けを求めた。
怖いのを我慢して、私はそこに駆けつけた。

「助けてくださいっ」
「・・・・」
「なんだ、こら?あ?文句あるのか?てめ」
「・・・お嬢さん!我慢して耐えてください!自分も我慢してますから!」

本当は”ぴゅーーー”という音が聞こえそうなくらいのスピードで逃げたかったのだが、そうせずに、できるだけ早足でその場を離れた。『正義の味方』の威厳を保つためだ。我ながら、よく我慢したと思う。
私だって我慢に忙しいのだ。友達がいないのも我慢しているし、貯金が少ないのも我慢している。本来ならあの女に「すこしは我慢しろ、このアマ」と言いたかったくらいだが、我慢したのだ。文句はあるまい。あったとしても、我慢しろと言いたい。

これだけ我慢に我慢を重ねているがマンの私なのに、人から「そんなに頑張ってつらくないの?」と聞かれることが全くない。
しかも逆に、周りの私を見る目は微妙に軽蔑の色が混じっているようだ。不当である。
普通これだけ我慢している私なのだ。周りは評価するのが当たり前だと思う。
しかし私は「もっと誉めて、みんな!」と言いたいのを我慢している。
がマンの悲しき定めである。

まったく世知辛い世の中だ。
こんな世の中だから、私の我慢はこれからも続くのだろう。
明日も頑張って我慢しよう。

投稿者 hospital : 2003年04月07日 09:12