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2003年04月24日

変わりたい女

内気で引っ込み思案な私。
自分の意見を主張できないから、本当の私を理解されることがない。
周りの人はきっと私のことを「なんか陰鬱で、気味が悪い奴だ」と思っているはず。
そんな自分が嫌で、私は親友の聡子に相談した。聡子は勝気な子だから、きっとためになるアドバイスをしてくれるはず。

「ねえ、わたし、変わりたいの」
「清美。簡単なことよ。ぶっとべばいいのよ」


『ぶっとぶ』。聡子は簡単に言うけど、一口にぶっとべと言われても、私には方法がわからない。

「清美。何を言う時でも最初に”ぶち”を入れることからはじめてごらんよ。きっと変われるから」

聡子は言う。話し方から変えていけと。とにかく、口にする言葉はできるだけ気合の入ったものをチョイスしろと。この言葉に従って、私は変わることにした。


「清美君。コーヒーを淹れてくれるかね」

引っ込み思案な私は職場ではもっぱらお茶汲み係。

「部長。コーヒーカップにコーヒーをぶちこめばいいんですか?」
「・・・き・・清美君?」

『どんな時にも、たじろいじゃだめ。自信を持って』。聡子の言葉が脳裡をよぎる。

「ぶち部長は、ぶちコーヒーを、胃の中に、ぶっこみたい?と、ぶっしゃってるわけですか」
「・・・・・、そうだが・・」
「ぶち急ぎますので、そこに座って待ってろください」


言えた・・・・・。


うきうきしながら私は給湯室まで全力疾走。
言えた・・・言えた・・・・言えた!!!

なんだか背後に流れる景色が今までとは違うような気がした。

給湯室では同期の美恵子が、油を売っていた。嫌な女だ。私をいじめて喜ぶタイプ。

「あら、清美」
「あら、まん子」
「・・・・・?」

言えた・・・・!

美恵子はぽかんとした表情でこちらを見ている。

『たじろがない』

「まん子。そこ、どきなさいよ。今からお湯が沸点を激きわめるんだから」

いそいそと、給湯室を出てゆく美恵子を見送る。

変われた・・・・。
変われたんだ、私。

自信を持って、これからも生きていこうと思う。

投稿者 hospital : 2003年04月24日 09:24