« 黒い影 | メイン | ユニフォーム »

2003年07月31日

近所付き合い

タケシにもそろそろ受験勉強を始めさせなくてはいけない。
夫の帰りは日に日に遅くなる一方だし、夫は息子に興味もないのだろう。
何も言ってくれない。私が言うしかないんだ。
こんな人と結婚したから私ばっかり苦労する。

私はうつろな表情で庭に洗濯物を干していた。
ふと隣の奥さんと目が合った。ウチの庭と隣の家の庭にははっきりとした境がない。
よくヒステリーを起こす奥さんで夜中に夫婦喧嘩の声がウチにまで聞こえてくることがある。
でも、昼間はいたって温厚に見える。
アタシはいつものように奥さんに話しかけた。

「奥さん。」
「・・・。」

奥さんは私が話しかけても返事をしない。
奥さんなりの冗談なのかもしれない。
彼女は自分の気持ちを正直に表に出すことができない人なのだ。
もっと気軽に話してくれたら嬉しいけどお隣さんだもん。我慢しなくちゃ。

「良い天気ですね。」
「・・・・。」

奥さんは私の顔も見ずもくもくと洗濯物を干し続けている。奥さんは照れ屋なのだ。
本当は私と話したいのだ。
奥さん同士が気軽にするドラマに出てくるような気軽な会話をしたいんだ。

「ウチのタケシもね。もう高校2年生になったし、そろそろ受験勉強させなきゃって思ってるんです。」
「・・・・。」

奥さん。かわいそうな人。奥さんにも息子がいる。
タケシと同じくらいの。本当は息子の自慢なんかもしたいに違いない。
でも話したくないなら無理にしなくたっていい。
私は夫の話をしてみた。

「ウチの夫ね。最近帰ってくるの遅くて。浮気でもしてるのかしら。」
「・・・・。」

奥さんたら返事くらいしてくれてもいいのに。そうだ。奥さんに・

「あのぉ。」

奥さんが私に話しかけてくれた。どうしたんだろう。

「どうしたの?奥さん。」
「いいかげん人んち庭に勝手に洗濯物干すのやめてくれませんか。。」

ひどい。私は悲しくなってその場を去った。
その日の晩も奥さんのヒステリーな声が聞こえてきた。夫婦喧嘩は毎晩続いている。
近所迷惑になっていることに気づいていないのだろうか。

「もうアタシ耐えられないわよ!なんなのあの女!ウチの庭に勝手に住みついて!テントまで張ってるじゃない!」
「そうだけど強引に追い出して刺されでもしたら大変なことになるだろ・・。もう少し様子を見た方が・・。」
「アナタどうかしてるわよ!他人なのよ!不法侵入じゃない!アナタの帰りが遅いとか浮気してるだとか自分の夫のように言うのよ!どうかしてるわよ!」
「そうだけど・・。」
「ウチのタケシに受験勉強始めさせなきゃとか言い出して!もうアタシ耐えられない!お願いだからもう警察に言いましょうよ!」
「もうすぐ出てくだろうから・・そうムキになるなって・・。」

人の夫婦のことはわからないけど、客観的にみて夫が少し弱すぎるのだと思う。
もうすこし強く言ってあげれば奥さんだってもう少し落ち着くのかもしれない。

でも私が首を突っ込む話じゃないし。。


近所付き合いって難しいわ。

投稿者 hospital : 2003年07月31日 10:32