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2003年11月10日

SFのような話

まるでSFのような話だが、体重が増えた。
こんなことを言うと、太ったんだろう、などと言われるかもしれないが、そうではない。

その証拠に、このあいだ体重計に乗ってみたところ、最大120kg計測のそれが目の錯覚でなければ、一回りした。そして、82kgのところで、止まった。何度か測ってそれが間違いでないことを確かめればいいように思われるかもしれないが、もちろん確かめるため再度乗りはしたが、体重計が壊れたのだ。
こうゆうわけで、太ったわけではないのに、体重が増えたのである。

そして、これもまったくSFのような話だが、以前買った洋服がすべて入らなくなった。こうゆうことを言うとまたもや太ったんだろう、などと言われてしまうかもしれないが、そうではなくて、服が小さくなったのである。
その証拠に、無理やり着ようとするとティーシャツであれば、だぼだぼに伸びきってしまうし、シャツの場合はボタンが全部弾け飛ぶ。無理してズボンを穿こうとすれば、ぶちぶちぶち、などと音をたてたかと思うと、縫い目が裂けてしまったりして、恥ずかしくて着られたものではなくなってしまうのだ。プチ北斗の拳である。
これは、服が小さくなったとしかいいようがないのだ。

まったく原因が分からないこの現象に私は首をかしげた。どうもおかしい。なにか超自然的なものが私をあざ笑っているようにしか思えないのだ。
その証拠にエレベーターに乗る際、定員オーバーを知らせるブザーが鳴る回数が最近多い。体重が増えたのは分かるが、やはり太ったわけではない。その証拠に、乗り合わせた人々は必ずといっていいほど私に気づくと降りるし、エレベーターの中の温度が急激に高まり、ひいひいと息が荒くなってしまうからだ。太ったわけでもないのに、おかしな話だ。

もともと趣味はピアノだが、鍵盤が二つ同時にしか押せなくなった。「ド」を押そうとすると、「レ」も同時に押してしまう。神がかり的なこの現象に私は始め誰かのいたずらを疑ったのだが、どうやらそうでもないようだ。というのは、誰かがいたずらをするにしても、私には友達も恋人もいないし、私に話しかけてくる人も皆無だからである。一つだけ可能性があるとするならば、「指が太くなった」ということがいえるかもしれないが、そんな話はとうていありえないし、馬鹿げた話だ。それでは星新一も真っ青のSFストーリーじゃないか。

どうにもおかしい。息をするのも面倒なのだ。医者に行けばいい、などと言われるかもしれないが、
「最近太ったわけでもないのに体重が増えたんですよ」
などと言えるはずがなかろう。そんなことを言ったら精神病院を紹介されてしまうし、だから、「SFみたいな話」と最初に断っているのである。実際に太っているのであれば、問題もないのだが、太っていないのである。本当に、困った話である。太っていないのに、体重が増えたこの事実。どう説明したらいいのだろうか。

SFも真っ青だが、最近顔が大きくなった。以前の2倍ほどあるのだから、ちょっとしたものだ。このあいだ街で知人とすれ違ったのだが相手は私だと気づかなかったようだ。その証拠に私に気づくとそそくさと道をあけたし、「できればかかわりたくない」という表情がありありと見通せたのである。

「デブ」

とすれ違いざまに小学生が叫んだ。他人にすれ違いざま「デブ」などと言われるやつなど、そうとう太っているんだろうな、などと思ってそいつを見物してやろうと思ったが、首をそちらに向けるのも億劫なので、やめてしまった。惜しいことをした。

世の中には可哀想なやつもいるものだ。まるでそいつは、SFみたいに太っているのだろうなあ、などと思いつつ、最近またずれを起こすようになった足を、やっとの思いで前へ運んだ。

歩くのが大変になるほど体重が増えたなどは、SFみたいな話じゃないか。

投稿者 hospital : 2003年11月10日 11:20