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2003年12月04日

最後のディスクレビュー14

胃が下へ垂れてきている。略して胃下垂。

今に始まったことじゃないけど、最近食べる物がめちゃくちゃ。
さっきもリンゴとバナナと肉まんとオレオを交互に食べていたらケンジと目が合ってその後すぐに目をそらされた。
半年くらい前のケンジだったらきっとすぐにアタシのそばへかけよって
「ダイジョブか?」って心配しながらローキックを10発くらい決めてくれたと思う。

でもケンジは変わった。

視力は1.5以上あるはずなのに最近のケンジはなぜかメガネをかけている。
ローキックどころか足を組んで椅子に座り、難しそうな本を眺めている。

別にいい。別にいいんだけど

すごくやだ。


まあいいわ。そろそろディスクレビューに入るわね。

まず最初はヨラテンゴの『サマーサン』
サマーズというお笑い芸人がいる。
今から二年くらい前だと思う。
三村はテレビで自分より若い芸人に質問していた。

「俺の突っ込みってほんとに面白いの?馬鹿にされてるような気がするんだけど」

実際馬鹿にされているんだと思う。
本人が世間の反応を不思議に思うのも無理はない。
あの時のおどけながらも真剣な彼の表情を忘れる事ができない。
何かが起きてることはわかるのに、何が起きてるかはわからない。
そんな不安で仕方ない子供のような顔をしていた。

ケンジがエアロバイクをこいでいる。肩にさげたタオルで額の汗を拭っているケンジと目が合った。
さわやかな笑顔でアタシに手を振ったケンジ。
アタシは彼を無視した。迷いはなかった。


お次はモグワイの『ハッピーソングスフォーハッピーピーポー』
キテレツ大百科に出てきた太目の男の子の名前はブタゴリラ。
高校生の頃、ブタゴリラ

ごめん。またケンジと目が合った。
今まで焼酎かビールしか飲まなかったケンジがワインを飲みながら窓の外を眺めている。
アタシに気づくとケンジは微笑みながらまるでアメリカ人のようなジェスチャーをして見せた。

ずっとこのままだったら毒殺しよう。


最後はファラケットの『ザビューフロムディスタワー』

視線を感じた。天井だ。
目をこらして天井を見てみると、小さな割れ目があるのに気づいた。
5cmほどの小さな割れ目だが、その割れ目の向こうでチラチラと何か動いているのだ。
その割れ目を10秒ほど見つめていると
割れ目はバリバリと裂け、中からケンジが出てきた。恥ずかしそうにしている。

どうすべきか。

かつて挙動不審な行動をしたアタシにケンジがしたように
アタシはケンジの大切にしているものを一つ一つフライパンで叩いた。
ロレックスの時計、高いジッポのライター、アタシの貯金を勝手におろして買った車。
その一つ一つを叩いていたら気が晴れるどころか涙が止まらなくなった。
昔、ケンジはフライパンや包丁でアタシのCDや洋服を一つ一つダメにした。
あの時、すごく悲しかったけど、今はもっと悲しいし

悔しい。


気づいた人もいるかもしれないけど今回は『客観的な人々』に注目してみました。
色んなことがいっぺんにあった日や、たくさんの人と話した日の帰り道に彼らの音楽はよく似合う。
目の前の景色をきれいだと思えること、それは簡単なことのようですごく難しいことだと思う。
彼らの音楽を聴いていると色んな景色が目に浮かんでは消えていく。
それは今まで見たことのある景色かもしれないし、見たことのない景色なのかもしれない。
まるで走る車の窓から見た景色のように、止まることなく近づいては消えていくやさしくて冷たい夜の景色。

目の前のケンジ。

見たことのないケンジ。

全裸で仁王立ちしているケンジ。風呂上がりでもないのに体から湯気が出ているケンジ。

アタシは怖くなって、家を飛び出し、薬局へ走った。
そして、ありったけのバルサンを買った。
薬局から家までの帰り道、アタシは両手にバルサンの入った袋をぶら下げながら
夜空を見上げて思いっきり声をあげて泣いた。

家に帰ると、ケンジはさっきと同じ姿で仁王立ちしていた。
アタシはケンジと目を合わせることもなく、落ちついて一つずつバルサンをケンジの周りや他の部屋に置いた。
すぐに白い煙が家中に広がった。
白い煙の向こうでケンジが悶えている。
1時間後、恐る恐る覗いてみると
居間の中央で、ケンジはぴくりともせず倒れていた。


そんなアタシの最後のディスクレビュー。

工藤静香の 『恋一夜』
あなたの淡い気持ちになかなか気づいてくれない勘の鈍い男が周りにいたなら
そっとその人の近くに歩み寄ってこの歌を歌ってみて。きっと

殴られるわ。

そんな感じかな。
それじゃあまたね。

投稿者 hospital : 2003年12月04日 12:04