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2004年05月14日

アチキの鏡

そして、私は今日も一つの難問に辿り着く。


なぜ、人は、美しかったり、ブスだったりするのだろうか。

なぜ、どのような回路を辿って人の脳が

「この人は美しい」 とか 「この人はキレイじゃない」

と判断するのだろうか。


「まあ結局は好みだよね」

なんてコーヒーでも片手に軽々しく口にしてみなさい。


私はそんな人間を正々堂々、白昼堂々


殺せる。


設問1.

「A子の彼ってさ、文庫本みたいな顔してるよね」
「してるかも!」

こんな会話があったとしよう。

二人の心の内を一言で表しなさい。
また、その理由を簡潔に述べなさい。

(2004年センター試験 国語 出題)


答え.  勝利  理由:A子の彼がブサイクだから


A子には幸せであって欲しいと私は思う。


A子がファンタオレンジを一気飲みしながら(ファンタオレンジである必要はない)

「めちゃくちゃおいしい」

と言う姿を想像して欲しい。


岩場に立ち、汚れたタンクトップで額の汗を拭いながら

「あちき、強く生きるけん」

と言う姿を想像して欲しい。


なんとなく許せない気持ちが

アナタの中に起こるかもしれない。


下克上。


私の頭にはなぜかそんな言葉が浮かぶ。

彼女のことをここでは『解放系』と呼ぼう。

解放系にももちろん美人とブスがいる。

解放系美人は良いとしても、

解放系ブスは誤解を受けやすい。

解放したことで

ブスに拍車がかかってないか?

と。


正論である。


ブスには拍車がかかりやすい。

真夏の山を流れる静かな小川でA子はアユを釣っている。

あ。釣れた。A子はサオを投げ出し、アユが暴れている川面へ走る。

アユは叫ぶ。

「あちき。アユになれてうれしかったけん」

A子はそんなアユの肩を優しくなでながらいう。

「あんた、まだアユにもなれてへん」

アユは目を閉じる。一筋の涙が頬をつたう。
でも、アユは穏やかな顔で笑っている。

そして、うなずく。


A子は、アユの口から釣り針を外し、川にリリースする。

アユはまた泳ぎ出す。

がんばれ。がんばれ。アユ。がんばれ。


もっといじっちゃえ。


もっともっと


整形っちゃえ。


そこには道がある。

無限に交わり合う道がある。

アナタは道の上を歩いているだろうか。

道の下を泳ぐアユだろうか。


たまに紳士に拾われる美しいアユがいる。


しかし、彼女は3日後、その紳士も道の下を泳ぐアユでしかないことを知る。


ああ。アタイ 抜け出せないや。


アチキ。これからどうしよ。


アチキ。誰なんだろ。


一人じゃないよ。


東京ドームでもいい。武道館だって。

アユは金ピカのコスチュームを着て歌う。


一人じゃないよ。


アチキもアンタも半人前。

一人で立てないアユだから。

だからヨロシク。

アチキ、アンタにはどう見える。


ねえ。A子。アンタの鏡にアタシの顔映ってる?


映ってるよ。


どんな顔してる。


キレイだよ。お人形さんみたい。


良かった。アンタの鏡貸してよ。


ダメだよ。これはアタシの鏡だから。


そっか。そうだよね。アチキの鏡には何も映らない。

アチキ。


アチキ。誰なんだろ。


アチキ。何してるんだろ。


アユになりたい。


アユになりたい。

アチキ


一人前のアユになりたいよ

投稿者 hospital : 2004年05月14日 16:35