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2014年12月20日

新幹線

日付をみてぞっとした。
いつの間にか10年に及ぶ歳月が過ぎているのだから。
僕は。
私は。
俺は。
実のところ自分にしっくりとくる一人称が思い浮かばない。
それくらいの年月がこの自分を変化させてしまったのかもしれない。

素直に自らと向き合いたいと思っている。
現在岡山から徳山に向かうこだま号の中にいる。
気持ちはとても澄んでいる。
昨夜ビジネスパートナーとともに飲みすぎたワインの影響もスターバックスで購入したクリスマスブレンドの熱さのせいか癒えている。
Messengerで入った昨晩の礼を意味するメッセージによると、どうも今回も気を失うまでやってしまったようだ。

このところ糖質制限というものを知り実行している。
今年2014年は自らにとって大きな年だと振り返ることができる。
二人目の息子が生まれた。
煙草をやめてみたら意外とすんなりと板についた。
糖質制限を始めたら高校の頃の体重に戻った。
思い返せば、高校の頃と今の自分を比較してやってなかったこと、今やっていることの最も大きい違いは生ビールを飲むことだ。
ダイエットをうたう多くがあるが、単純に生ビールをやめてみるだけでずいぶんと効果があることにどれほどの人間が気づいているだろうか。

使う言葉だって変っている。
いったい誰に話しかけているのか。
それすらもわからなくなっている。
人が微笑むことを言いたいのか。
誰かを憤らせるために書いているのか。
車窓から見える景色は雨にけぶっている。
一つも違和感のない非現実が死体のように私しかいない1号車に横たわっているのかもしれない。
それすらもどうにでもなる。
そんな気持ちをつづっているのかもしれない。

誰かをおどろかせたいのか。
自分以外には誰もいない車中で突然に音を立てて(音はしつづけているはずなのに)ドアーが開き車掌が車中を一瞥し目礼して姿を消した。
きらびやかな空間にしんと冷えた黒い箱型の空間が、一辺が10㎝程度の箱型で、置かれたクッションのように無造作に存在していて、その10㎝四方の黒い空間のなかではなにも意味をなさないので、仮に大声で今自分が考えていることを言葉に出したところでそれは意味も音もなさないままとなる。
外部のきらびやかな雰囲気と対象をなすその黒い空間のことを、今私は新幹線の中でじっと考えているのだった。

ふとタイミングよくトンネルの中に入った。
そこは暗闇で、きっと照らされる必要がないから暗闇なのだろう。
雨の景色と暗闇が断続的に表れるが、それはなんの意味もなさない。

それにしても10年という歳月がいつのまにか過ぎていることにぞっとしているのだ。
熱いコーヒーは私の口の中を傷つけた。
ネコの舌のようになってしまったのだ。
アナウンスが福山駅に到着することを告げている。
こぎみの良いタイピング音が突然私の耳に飛び込んでくる。
その音はもしかしたら誰かをイライラさせてしまうものなのかもしれないが、私にとってはとてもこぎみよく聞こえるのだった。

大勢の人がホームに並んでいる。
この今の空間はきっと突如として汚染されてしまうのだろう。
私の空想は壊されてしまうのだろう。

投稿者 hospital : 2014年12月20日 10:43