2004年11月23日
クルーキッドレイン
今日、新しいビザを申請しに行った。
これから毎月いろんな手続きがありそうで頭が痛い。
役所のような建物の3階まであがり、3階のくせに部屋番号が
201から始まっている不思議な3階のまっすぐな廊下を歩き、
一番奥の部屋まで行った。
俺が知っていたのは
この建物の住所と部屋番号と、それとジャンという名の男に頼め。ということだけだった。
恐る恐るおぼろげな中国語で
「ジャンさんいますか?」
と聞いてみたところ、奥から顔がマイケルチャン(テニスプレイヤー)そっくりの男が出てきた。
スーツの上にアディダスのジャンバーだった。
お前は体育教師かと突っ込みたくなった。
一時間わき腹をマッサージし続けてもまったく笑わないような厳しい目で俺を見た。
とっさにオレは「この男、反日系だ」と判断した。
反日感情はやっぱりあるらしい。最近そのことがわかってきた。
こいつ、二世代前の恨みを俺にぶつけようとしている。
オレは自分が悪いとわかっていることなら素直に謝れる人間だ。
だけど、こんな反日野郎に頭を下げるのは真っ平ごめんだ。
精一杯、「恐ろしい目」をして見返した。
そこから中国語と英語がチャンポンになったハチャメチャな会話が続き、
なんとかビザの申請をすることができた。
1時間以上かかった。2キロくらいやせたはずだ。
そして、「謝謝」と言って席を立とうとすると、チャンのほうから何か声が聞こえた。
マネ
え。なんだろう。マネって聞こえた。なんだろう。
ほんとにドラクエの呪文じゃないかと思った。
だってチャンはうつむいたまま席もたたず、背中から炎のようなオーラを発し続けているのだから。
「マネ」じゃなくて「メラ」だったんじゃないだろうか。
オレは覚悟した。
戦闘体制に入ろうと思った。
金髪だったあの頃を思い出して、ストーンエイジばっかり聴いてたあの頃を思い出して、
今、石田純一みたいな髪型してるけど、昔、金髪だったじゃん!と自分を奮い立たせて。
しかし、チャンは次の瞬間、「ニホンゴデ言うと、オカネ」とつぶやいた。
そうだ。オレはお金を払うのを忘れていた。
胃の底からほっとした。
それ以前にお前日本語話せたのかよ。と思った。
さっき体育教師に見えたとき、小さな声でつぶやかなくて良かった。
というわけで中国での1ヶ月の生活費くらいのお金を取られ、俺のビザ申請は終わった。
まあピザを5回頼んだと思えば安いもんだ。
なんだか嬉しかった。
中国語を覚えてきたこともそうだし、怖そうに見える人が意外にそうじゃなかったり、
少しずつ人種の違いを感じなくなっていく。
帰り道、日本料理屋を発見して入った。
入ると若い女性が
「いらっしゃいませワンシャンハオ!」
と日本語と中国語が合わさった不思議なマクドナルドのような挨拶が聞こえた。
彼女と目が合った。
彼女は確かに俺に救いを求めていた。
アタシをこの牢獄みたいな日本料理屋から連れ出してと言っていた。(目で)
そんなこんなで一日疲れた分、夕ご飯もおいしかった。
だけど、一人だったので幸せ度数は20でした。
店を出ると雨が降っていました。
海賊版DVDの露店のおじさんが慌てていました。
歩道橋の上では乞食がオカネの入ったザルをふっていました。
オレはヘッドホーンを装着しました。
ペイブメントのクルーキッドレインが流れました。
ちょっと慣れてきたなぁと思った一日でした。
uematsu
投稿者 hospital : 2004年11月23日 20:03
