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2006年10月14日

50セントの憂鬱な朝1

その朝、カリスマラッパー・50セントは、
起き抜けのシャワーを浴びた後、
いつものように鏡に向かい、
太いため息とともにこう呟いた。

はあ。なんだって僕はこんなに悪党面なんだろう。

毎朝繰り返される憂鬱。
人は外見じゃ判断できないなんていうけれど、
マーベル社のコミックに出てきそうな凶悪な面構えと、
その下で黒光りするカブトムシの如き重厚な肉体、
それを包むダボダボ服を目の前にしたとき、
人は彼を、ギャングか、ラッパーか、
ラップをするギャングか、ギャングをするラッパーか、
そのうちのどれかとしか考えられないことを知っていたし、
メディアの中での自分の振る舞いを省みたとき、
それを否定するのがどんなに馬鹿げたことなのか
50セント自身、重々承知のことなのであった。
それでも、時々はこんなジレンマに苛まされのだ。

みんなホントの僕を知らない。
ほんとは細いジーンズにコンバースを履いて、
インディーポップをやりたいホントの僕のことを。
ああ、こんなルックスじゃなければなあ…。

そんなことを考えながら、
昨日、日本から取り寄せたばかりの、
チカコビューティー社製、
「ファニーフェイスになれる化粧品」を
顔面に塗りたくる。

こんなの本当に効くのだろうか。
そんなふうに訝しげながらも、
化粧品とテクノポップは日本製に限るよな、
そうひとりごちて、
バスルームを出る50セントなのであった。

つづく

投稿者 hospital : 2006年10月14日 15:06

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