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2006年10月14日

50セントの憂鬱な朝3

洗濯物をたたみながら、
テレビのニュース番組で
天気予報をチェックする50セント。
どうやら今日は午後から雨がふるみたい。

再び携帯電話がなる。
今度はマネージャーからだ。

姿勢を正し、声の調子を整える。
極悪ラッパー・モードに頭を切り替える。
受信ボタンを押す。

「ワッサア」

「ワッサア。フィフティ、調子はどうだい」

「最高にご機嫌だよ。あんたのカミさんのプッシーみてえにさ」

「そうか。ところで、フィフティ、今日は大事なミーティングがあるってこと、ちゃんと覚えているかい」

「もちろんさ。あんたのオフクロさんの顔くらいに忘れがたいことだよ」

「ならいんだ。ちゃんと遅刻しないで来てくれよな。じゃあまたあとで」

電話が切れた後、
吐いたばかりの自分の汚い言葉を思い出し、
しばし自己嫌悪に陥る50セントなのであった。

気分転換に、
テレビのチャンネルをMTVに変える。
UKバンド・ブロックパーティーのプロモが流れている。
黒人ボーカルの顔がアップになる。

なにさ、あいつ。かわいい顔しちゃってさ。

そう毒づいてから、

イギリスはいいよな。イギリスはさ。
僕もイギリスに生まれて、UKロックと洒落込みたかったよ。

ヒップホップ大国アメリカに生まれていしまったこと、
完全無欠のギャングスタラッパ顔に生まれてしまったことに、
ひどく悲しくなる50セントなのであった。

MTVの映像がベックのプロモに変わる。

畜生。僕だってあんな顔になりたいよ。
アートスクールの女の子たちに、
きゃあきゃあいわれてみたいものだよ。

突然やけになり、
バスルームに飛び込む。
裸になる。
例のチカコビューティー社製、
ファンシーフェイスになる化粧水を頭から被る。

びしょぬれのまま立ち尽くし、
50セントは思う。

馬鹿だな、僕。
こんなのほんとに効くわけないよ。
僕ってば、ほんとにお馬鹿さんだな。

つづく

投稿者 hospital : 2006年10月14日 15:11

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